クランクの適切な長さは身長や足の長さだけでは決まらない
ロードバイクのクランク長さは、身長の1/10などと言われることもありますが、その説は無理があるのは皆さんが思っている所だと思います。
また、完成車として販売されているロードバイクのほとんどが、クランク長さ170mmというのも、あまりにも強引な気がしています。
自分にとっての適切な長さは、何を基準に選んでいいのかわからなくなったので、仮説を立てて長さを変えてみました。
【目次】
- 【目次】
- 自分に合った適切なクランクの長さ
- 160mmのクランクを試してみる
- 160mmのクランクを試してみた結果
- 172.5mmのクランクを購入する
- クランクを長くした結果
- 自分の身長にあったクランク長さ
自分に合った適切なクランクの長さ
以前の記事で股下寸法などから求める自分に合ったクランクの長さを求める方法を書いた事があります。
記事に書いた方法で計算すると、身長170cmの私の場合は160mm~165mmでした。
クランクを短くして出来るだけ足の運動量を減らす事は、ロングライドやレースの際に感じる疲労を少なくする効果があるかも知れません。
ここでいう運動量というのは、腿を上下に動作させる脚の可動範囲という意味ですが、クランクが長ければ長いほど、腿や膝の動きの可動域は大きくなりますが、クランクを踏み込む力(トルク)は少なくなります。
160mmのクランクを試してみる
机上で割り出したクランク長さをイメージや想像しているだけでは正しいか否かの判断ができません。
まずは160mmのクランクを探して購入してみます。
しかし、160mmという長さのクランクは、あまり多く販売されていません。
やっと見つけたのが「ラ・クランク」のクランクでした。
160mmのクランクを試してみた結果
実際に160mmのクランクを取付けて固定ローラー台で回してみると、上死点(膝が最も高くなるところ)が低くなり、脚の動きによる窮屈感が無くなりました。
これは予想通りの結果です。
とても走りやすく感じて、自分が作ったクランク長さを計算する方法が正しいかも知れないと喜び、「日本の蔵王 ヒルクライム・エコ2016」という東北で最大規模のヒルクライムレースに参戦しました。
このレースはとてもきついコースで、ほぼインナーローでひたすら回し続けるという苦行になります。
2回目の参加なのですが、前回よりも回転が上げられず、ゴールまでとても苦しいレースでした。
翌週に行われた「おおつち新山高原ヒルクライム」にも参加しました。
これも2回目の参加ですが、ここでも自分が思っているほど回転を上下られません。
どちらのレースもきついコースで勾配も急なところもありますが、自分を抜いて行く人のクランクをみるととても軽やかに回っています。
スプロケットの違いもありますが、「クランクが10mm短いから思い通りに回せなかったのではないか?」という疑問が浮かびました。
クランク長さと出力について調べてみると、クランクの長さが2.5mm変わる事で、出力が約3~4W変化するといわれている事を知りました。
もともと170mmのクランクだったものを、160mmに変更したので10mm短くしたことになり、その出力は12~16Wも落ちることになります。
瞬間的な15W程度の出力の違いは、それほど気になるほどではないかもしれませんが、ヒルクライムレースのような長い距離や時間、高いパワーを維持しなければならないところでの15Wの出力の差は大変大きなものだと思います。
とすると、逆にクランクを長くすれば同じ力で高いパワーを得ることができるという事です。
やってみたくなりましたので購入してトライします。
172.5mmのクランクを購入する
2.5mmのクランク長さが3~4wの出力差を生むのであれば、長い方が楽に踏めることになります。
しかし、長すぎては足の運動量が増えるし、上死点で窮屈な動きになってしまい違和感を感じるとも考えます。
そこで、中途半端かなとも思ったのですが172.5mmのクランクを購入しました。
慎重にポジションを調整してサドルポジションを合わせ、なるべく上死点で窮屈な感じにならない様にして、固定ローラー台で走ってみます。
何となくですが、以前のクランク長さよりも、同じ出力を出していても楽に回せているような感じがします。
クランクを長くした結果
クランクを長くしてポジションを合わせてみた結果、最初は違和感のあった可動域の大きさですが、ライディングフォームを見直すことで違和感もなくなりました。
いまでは、この長さでなくてはいけないというくらいになっています。
ヒルクライムのレースの結果を見ても、前年のタイムよりも早くなっていることが多いことから、自分で感じているように実際の効果もあるのだと思います。
もう長さを変える気はないです。
自分の身長にあったクランク長さ
自分に合ったクランクの長さは、身長や股下寸法などの長さから割り出した寸法が一つの目安にはなっていると思います。
しかし、短すぎるクランクは必要とされるトルクが高くなってしまい、結果として相当強いフィジカルを持っていないと回しきれないものになってしまいます。
特にヒルクライムなどのレースで走る方は、身長に合ったクランク長さというよりは、自分の脚力あった長さを選んで、そのクランクをきれいに回せるポジションとライディングフォームを手に入れる方が良いと思われます。